第17章 多くの天敵
一瞬、何を言われたのか分からなくなった。
途端にあいつの笑顔を思い出して、ズキズキと心臓が痛んだ。
【赤司】
「・・・俺、譲る気はありません。
──初めて、一目惚れしたんです」
一目惚れ?
譲る気?
なんだよそれ・・・
意味わかんねえよ
こっちはずっと想い続けてた女なんだ
そんな簡単に、諦められるわけ・・・
【赤司】
「・・・はちは、抵抗しませんでした。
俺は彼女のために、」
「んだよそれ」
【赤司】
「!!」
わりぃな赤司。
言葉遮っちまって。
だけど、お前の言ってること、俺には理解できねぇ
抵抗しなかった?
彼女のために?
さらに追い討ちかけるようなことすんなよ・・・
だがこのとき、確かに赤司の言葉は俺の心を揺るがした。
譲るとか、譲らないとかじゃねえんだよ
俺は、自分が傷つかないように予防線を張っていただけだった。
去り際のあいつの涙を思い出して、再確認した。
「──俺も譲る気なんかさらさらねぇよ」
キスなんてもん、ぶっ飛ばしてやる
振り向かせる、それしか今の俺には出来ねぇんだ
「──覚えとけよ。
あいつのことを1番に見てきたのは俺だ。
勝手にかっさらっていくんじゃねえよ」
赤司がどんな顔をしているのかなんて、知ったこっちゃねぇな
あいつに会いたい。
そして、伝えるんだ。
ずっと想っていたこの気持ちを。