第1章 突然に現る
「ふぅー………と、とりあえず、話をするので落ち着いてください」
「落ち着いてないのはあんたでしょ」
ベッドの上にあぐらをかいて座り、死神に顔を向ける。
なんだろう。
頭がぐわんぐわんする。
「それでは詳しく話しますね。俺は………で、き…………だか………す………つま………」
うわぁー。
なんか声がぼわぼわしてるー。
どんどん遠くなって……不思議な感じ……。
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【死神side】
「一通り全て話しましたが、何か質問はありま………って、寝てる」
いつの間に寝たのやら。
でも起こそうとは思わなかった。
「疲れてたんですね」
彼女をそっと空中に浮かせ、布団をめくる。そして優しくゆっくりと彼女をベッドに置き直し、布団を被せる。
「よく寝てる」
にしても強烈なキャラだった。
寝顔は可愛い女の子だが、喋ったり何か行動をすると全て台無しになる。勿体ないくらいの無駄美人だ。
「こんな小さな体で全部抱え込んで……」
疲れているのに、自分のことよりも他人を優先させる。彼女はそんな人だ。
今はどんな夢を見ているのだろうか。
楽しい夢か。悪夢か。
「神よ。彼女に安らかな眠りをお与えください」
なんて、死神が言うことでもないか。
神なんかに祈ったってどうにもならないことだってあるのだ。
「確か死神って漢字にも神が付くんだったけか……。はっ、滑稽だな」
どうか、哀れなる我らに幸福のお導きを────。