第3章 ときめきに策略
今日はハロウィンパーティだった。
皆思い思いのコスチュームを着て、一日を過ごしている。
僕の大好きな彼女が居ない。
そんな事を考えながら、大広間を見回していたら、会場がざわめいた。
…なんだ?
僕は、皆の視線の先を追った。
和服…?
確か"フリソデ"って言ったか?
黄色地に淡いピンクと濃いピンクの華が咲いてる。
…誰が着てるのかと見たら、皇だった。
僕の心臓がうるさいくらい高鳴る。
皇はウォーカーと楽しそうに話しながら、かぼちゃのスープを飲んでいる。
いつもめったにしない化粧をほんのりして、いつもより一層美しい。
僕はドラキュラの仮装。
パーキンソンは、黒猫の仮装をしている。
…パーキンソン、ベタベタするな…。
ウォーカーは、パーティドレス姿だ。
ドレスと振袖なんて、不釣合いの様な、より華やかの様な。
なんとも言えない雰囲気が漂う。
きっと、華やかな方だろう。
皇はウォーカーに手を振って、一旦別れたらしい。
しとしととコチラに近付いてくる。
「…皇、向こうじゃないのか?」
「えぇ、今はね。」
そう言って隣に腰を下ろした。
長い髪の毛をアップにしていて、白いうなじがそそる。
袖を汚さぬ様に、手で持ってパンプキンパイを取って席に座る。
気品を感じる…さすが、僕の選んだ女だ。
……
大広間はまだ大騒ぎだが、僕は談話室に戻った。
「ふぅー…」
僕がため息を吐くと
「スー…」
「…!?」
僕より先に談話室に戻ってた奴が居るのか。
しかも、寝息…か?
ソファを見てみると、座りながら皇が振袖姿で眠っていた。
綺麗、可愛い、美しい、妖艶…
僕は彼女に見入っていた。
「ん…」
サクラ色の唇が、声を漏らす。
ドキッと心臓が鳴った。
「んん…ん…」
また声を漏らし、体を捩った。
ちらりと、生足が見えてしまう。
「…っ!!」
ときめきに策略
…実は、ドラコにだけ見せてるの…分かんないかな?