第2章 弐
「お前もそげん風に笑えるんだな」
肩のホコリを払うの手を掴むと
物珍しそうに、顔を覗き込みそう言う
豊久にドキリと胸が高鳴る。
『あ、あの‥‥』
「よか顔じゃ」
もう一度ニカリと笑うと
後ろで与一のため息交じりの声が聞こえる
「豊はずるいな〜」
「いけんゆうこっだ」
「さん、もう持ち帰るものはありませんか?」
『あ、はい。このトランクと本しか
この家には置いてありませんから‥‥』
「じゃあ、そろそろ戻りましょうか」
『はい』
先を歩く4人の背中を眺めながら
はトランクをかかえる腕に力を入れると
ずっと前を見据え
戦う覚悟と、父が残していった意思を
人知れず心に刻んだ。
『‥‥お父さんの代わりになれるかな』
彼女を後押しする様な追い風に独り言を乗せて
一歩強く踏み出した。
「何しとおんだ、はようこい」