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タイトル未定《ドリフターズ》

第1章  壱




オルミーヌの説明はなくとも
自分へと疑いを向ける空気を感じられ
耳を撫でるノブナガの手を叩いて払いのける。


『これわっ‥‥‥』


耳を隠しノブナガから距離を取ると
ドスンと背中に衝撃があり、がしりと肩を掴まれる



恐る恐る後ろを振り向くと
同じ目線に与一の綺麗な顔が間近にあり
ぶつかって密着している背中に
与一の華奢で逞しい身体の感触が伝わる



『お、男のひと‥‥』



私の言うことが分かったのか、
与一は眉間に少し皺を寄せる
『ごめんなさいっ!』慌てる私の腕を引き
オルミーヌさんが3人に声をかけ助け舟を出してくれた。




納得がいかないという様な顔で
此方に背を向け歩いていく3人を眺めていると
オルミーヌさんがそっと肩に手を回し
今日は休んでください。と優しい言葉をかけてくれる。



その言葉ににこりと笑い返事をすると
村の仲間達の所へ戻った。



離れ離れになっていた、家族や
恋人達がお互いを抱きしめ
涙を流しながら喜んでいる仲間達の
光景に目を細める。





彼らがいっている言葉はよくわからなかったが
最後に母親から聞いた言葉が頭の中で繰り返される。



母が残した鍵型のネックレを握りしめ
仲間より少し短めの耳をそっと指でなぞった。



目を閉じれば、返り血で赤黒く染まった壁と
光の向こうにある鋭い瞳が頭から離れず
ドクリドクリとまるで血液の中に混じっている様に
激しく心を打つ。



瞳を閉じ
深く一息つく。



顔をあげると、決意したかの様に
前を見据え漂流者とオルミーヌのところへと足を運んだ。






『私は‥‥私の父は漂流者です。』


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