第4章 四
「ジャンヌ良い旅を‥‥」
その一言を最後に、嫌な音ともに
人型に白く風に舞い消えていく。
「何だ、何だこれは‥」
先ほどまで血を流していた廃棄物は
影形もなく同質量の塩へと変わる姿に
皆動揺が隠せない
「はあ はあ はッ はあ」
『与一さんっ』
先の闘いで、苦しそうに肩で息をする
与一にが駆け寄り肩を支える
自分の無力さに、ぐっと下唇を噛み
かける言葉も見つけることができずに
ただただ荒い与一の息遣いにそっと寄り添う。
「お師匠さまぁーーーー!」
「オルミーヌ導術師よくやってくれました」
「あ、ありがとうございます!」
オルミーヌが〝お師匠さま〟と呼び
同じ西洋の服に身を包む男性へと駆け寄る
のを、信長はじとりとした目で見つめる
「誰だお前は
いやお前らは」
「私は廃棄物を恨む者
このオルミーヌの師魔導結社『十月』の長をしております
あなた方漂流者を支える者
この世界にいてはいけない廃棄物
彼らを滅ぼす指名を受けた者」
「お前もその漂流者か、名は」
「安倍 晴明」
「あべの はるあきら‥」
『安倍晴明さま?!』
「せいめいと避諱読まれているそうで
私はそれ程大した者ではありませんよ」
そう言って微笑む彼は
色っぽい泣き黒子がある東洋人。
『あ、あの‥‥』
「? 珍しい、貴女はハーフエルフですか?」
『はい、それであの‥‥』
が、口を開こうとしたとき
豊久の声がそれを遮る
「おう こっちも片付いたようじゃの
知らん顔ばずばあ増えちょる
誰ぞ」