第16章 驚きの事実
留守電を再生させると、間違いなく岩泉さんの声で安心した。
吹き込まれていた内容は…。
『岩泉だ。この前の件は、当然の事をしたまでだ。礼はいい。お前も気にすんな。
後、な。クソ川が迷惑掛けたみてぇで悪かった。アイツはシメとくから、安心しろ。』
だった。
クソ川って誰?
共通の知り合いって黒尾さんくらいだと思うんだけど、明らかに違う人の事を言っている気がする。
それが、気になったのもあったし。
気にするな、と言われてもお礼はしたいし。
折り返し電話を掛けた。
『…岩泉だ。』
数回のコール音の後、電話には出てくれたけど、声が低い。
なんとなく機嫌が悪そうな気がした。
取り込み中だったかな。
「あ、私…この前、助けて頂いた大熊です。…あの、今、お電話大丈夫ですか?」
『あぁ。』
確認したら、大丈夫そうだったから話を続けようと思った。
だけど…。
『岩ちゃん。誰と電話してんのさ。』
電話口から、はっきりと他の人の声が聞こえる。
誰かと一緒にいるらしい。
『五月蝿ぇ、クソ川!黙ってろ!』
『イッタい!岩ちゃんは、すぐ手が出るんだから〜。そんなんじゃ女の子にモテな…あだっ!』
どうやら、件のクソ川さんらしい。
どこかで聞いた事のある声の気がして、よく聞こうとスマホに耳を押し付けた。