第16章 驚きの事実
逃げる企画が放送され、女の敵は完全に増えた。
ブログとかはやってなかったから、私自身の何かが炎上する事はなかったけど、事務所の方にファンレターと称した嫌がらせの手紙なんかが届くようになったらしい。
現代の王子様と、超人気アイドルに取り合いされた、歴代で最も地味なワンデレラ。
超美人な、有名モデルとか女優だったら、諦めもついて、こうはならないだろう。
私だって、どちらかのファンだったら嫌な気持ちになるだろうから、女の子の気持ちも分かる。
だからって、1人で外に出ちゃいけないレベルの状態はやり過ぎである。
黒尾さんも言ってたけど、2回目の1年シンデレラの放送は、私の住んでいる地域やら、通っているジムを特定しかねない映像が入っていて。
マンションまでは割れてないけど、念の為、仕事以外では外に出ないよう言い付けられていた。
その所為で、オフの日は完全に引きこもりをしなきゃならず、暇をしている。
そんな中で思い出したのは、岩泉さんの事。
お礼をしたいと申し出たのに、連絡すらしていなかった。
慌てて、貰っていた名刺を取り出して電話を掛ける。
当たり前だけど記載されていた番号は、個人のものじゃなくて警備会社のもので。
取り次ぎをして貰えず、落胆した。
一応、私の連絡先を伝えてくれるように頼みはしてみる。
だけど、きっと掛かってくる事はないと思っていた。