第113章 思わぬ出会い（９）

潤「大崎さんは何故櫻井社長の前から姿を消したんですか？」

母「妊娠してるのが解って、その事が主人の両親に知られたら堕すように言われるかもしれない…堕さなくてもきっと子供だけ櫻井に残すように言われるだろうからと…」

和「…そうでしょうね…」

翔「母さんのお墓は…？」

母「…Ｇ県に埋葬したわ…あの子の出身地なの…今度案内するわね」

翔「はい…ありがとうございます」

潤「俺も行きたい。翔兄さんのお母さんに挨拶したいし」

智「そうだな。皆で行こうか」

俺も…皆を紹介したい…

俺の兄弟達を…

俺は今、本当に幸せなんだと母さんに伝えたい…

雅「あの…ひとつ聞いて良いですか？」

母「ええ、何かしら？」

雅「…『ヒロちゃん』って誰ですか？」

母「…え？」

智・翔・和・潤「・・・」

ま…雅紀…お前この流れでそれを聞くか…？

母「ぷっ…フフフッ…」

雅「え？え？な、何で笑ってるの？」

母「ごめんなさいね…『ヒロ』は私よ。私も『洋子』だから陽子は私の事そう呼んでたの。漢字の『洋』の字が『ヒロ』とも読むから」

和「全く…お願いですからその天然を外部に晒さないで下さいよ。大野家の恥になりますから」

雅「あっ！和ちゃん酷っ(涙)」

…思わぬ発言が出て驚いたけど、お陰で場の雰囲気が少し和んだな…

翔「あの…お願いがあるんですが…」

母「何？」

翔「…社長と一緒に飲みに行きたいんですが…時間が取れますか？」

俺からの相談に少し驚いた顔をしていたけど

母「…大丈夫よ。翔からと言えばあの人は直ぐに時間を作るから」

ずっと思ってた…

櫻井社長と話がしたいと…

俺の…父さんと…