第87章 望まぬ指令(2)
智「ジイチャン。改めて紹介するけどこっちは潤で、翔くんは会った事があるんだって?」
会「…知らんな」
智「え?」
翔「智くんごめん、人違いだ…あの時会ったのは別の人だ…」
智「え?べ、別人!?」
…何で…じゃああの人は一体…
会「何の話だ」
智「あ、ごめん何でもないよ。こっちは潤の兄貴で翔くん」
翔「…初めまして翔です」
潤「弟の潤です。ご挨拶が遅くなってすみません」
会「掛けなさい…私は忙しいんだ。用件はなんだ?」
会長に促されて俺達は向かい側のソファーに座った
翔「単刀直入にお伺いします。今回の後継者候補に自分と弟を指名してきた事由をお聞かせ下さい」
会「…何故だ?」
翔「和也から事前にお聞きしたハズです…私は孤児であると…しかも男娼をやっていた事も…それなのに何故ですか?」
潤「自分もです。評価して頂いた事は光栄ですが…母は会長から大野さんとの婚姻を反対されたと聞きました。父は大野グループとは何の関係もありません。所謂赤の他人のハズです」
会「お前は智と異父兄弟ではないのか?」
潤「はい…それはそうですが…」
会「智…お前は潤が赤の他人だと思うか?」
智「いや…血の繋がりはどうであれ潤は俺の弟だよ」
会「そう言う事だ。お前の技量も松岡から聞いている…それで納得か?」
会長…潤の事を家族と認めてくれてるんだ…
会「お前が赤の他人という理由で異議を唱えるのなら、海里も候補外となるな…」
…アイツはその方がありがたいけどな…