第53章 本日お出かけ日和
翔「…ありがとうな…和也…潤の事好きになってくれて…」
和「え?」
翔「お前、ずっと雅紀の事好きだったんだろ?なのに俺の為に身を引いて…その事がずっと気掛かりだったんだ…」
翔兄さん…俺の事気にしてくれていたんだ…
和「大丈夫、潤くんと同じです。私が雅紀兄さんに抱いていた気持ちは、兄として慕っていただけだって…ただ智兄さんに対する気持ちとちょっと違っていたので、勘違いしたんでしょうね」
翔「潤と同じ…?」
和「あ!」
しまった…ついうっかり…
すると翔兄さんは、ふっ…と微笑み
翔「…知ってたよ。潤の気持ち…」
和「え!?」
知ってたって…潤くんが翔兄さんの事好きだったっていう事を!?
翔「そんなに驚く事か?」
和「だって翔兄さん、自分の事はまるで鈍いじゃないですか」
翔「鈍いは余計だよ。んー…何て言うのかな…あいつ、結構焼きもちやきだろ?最初は大事な兄貴がとられると思ってるんだろうな…って思ってたんだけど、それが顕著に出てきてさ。あ、こいつもしかして…って思ったんだ」
…潤くん…解りやす過ぎますよ…
和「で?翔兄さんはバレてない振りを?」
翔「まあな。あいつもバレたくなかったんだろうな、必死に隠してたし…俺もこんな事でお互い気まずくなって、潤にいなくなって欲しくなかったし…」
…?潤くんがいなくなる?
その翔兄さんの言葉に違和感を覚えた俺は、気になっていた事を確認した
和「あの…翔兄さん、ひとつ聞いて良いですか?」
翔「ん?」
和「…先日、三枝邸に行った時に翔兄さんが名乗っていた『櫻井』って名前は?」
翔「…え?」
その時、明らかに翔兄さんの顔色が変わった