第4章 紳士な怪盗
雪の舞う季節。
待ち合わせの場所へ急ぐと、大好きな彼の姿。
嬉しくて思わず駆け出した。
『エドガー!!』
「!名無し、待っていたよ」
『会いたかった!!』
勢いよく飛び付いたのに、よろけること無く抱き止めてくれた。
エドガーに初めて会ったのは、イギリスに留学したとき。
ベタな展開だけど、紅茶を買ったお店でぶつかったのが初めての出会い。
エドガーは全寮制の学校に通っていたし、私もパティシエの勉強で忙しくて会えない日が多かったが、3日に1度手紙を書いてくれた。
それから交際に発展したものの、私は日本に帰らなくてはいけなくなり、国際的な遠距離恋愛中vV
「元気だったかい?」
『えぇ!エドガーも元気そうで良かった!』
「君に会うのに、元気が出ないはずないさ」
チュッとおでこにキスをされた。
久しぶりの温もりに頬が緩む。
『いつまで日本に居れるの?』
「その事は後だよ。さぁ、行こうレディ」
『そうだね!』
差し出された手を取ると、リムジンに乗り込もうとするエドガーを引っ張って止めた。
不思議そうな顔をする彼に、思わず笑いが込み上げた。
『ジャパニーズスタイルのデートしましょっ♪』
「それは、いいね!それでは、今日はエスコートしてもらおうかな?」
『任せてっ♪』
まずは駅に向かう。
切符を渡し、電車に乗り込むと予想より混んでいるため、二人で入り口の近くに立つことにした。
ドアが開き、人が乗り降りするたび私が押し出されないよう、然り気無く腰に回された腕に力が入る。