第1章 unforgiven nuit
「ううん…」
寝返りを打ちながらゆっくりと目を覚ますと…既にもう明るかった。
時計に目をやると…既にお昼を回ってる。
「………いって…」
腰を擦りながら起き上がり、ベッドに腰掛ける。
頭を掻きながらサイドテーブルに目をやると俺の物ではないブレスレットが目に入る。
「………あいつ忘れていきやがって…」
ため息を付きながらジッとそのブレスを見た。
ぼんやりと蘇る記憶。
昨日会ったばかりの名前も知らない男。
分かってるのは…2こ年下って事だけ。
何度求めたか分からない程…昨日は夢中であの男と交わった。
あんなセックス…彼とも味わった事ない。
ただ一度きりの甘い蜜だったから…極上を味わえたのか。
それとも…。
俺はそっとそのブレスにキスをして…腕に着けた。
もし…奇跡が起きたら…あいつと会えたら…名前…聞こう。
虚しさだけで終わると思っていたこの旅を…甘美な想い出に変えてくれたあいつを…俺は忘れないだろう。
俺の望むままに激しく抱いてくれた…何度も唇を重ねたあいつを…。
「………もう…帰ろうかな…日本に」
もうこの旅の目的は終わった気がする。
俺はその日…一日早い帰国をしたのだった。
そこに…これから始まる激情の愛が待ってるとは微塵も思わずに…。