第1章 目が覚めたら赤安(らくえん)でした
「う……グスッ……」
夜の21時。
仕事が終わり自宅に帰り、速攻お風呂を終えた私は高校のジャージを身に纏い、夕飯のコンビニ弁当を食べながら泣いていた。
なんで泣いているのかって?そりゃ勿論……
赤安が尊いからだよ!!
ご飯中に素敵な赤安本読むんじゃなかった……しかし最高…早く結婚してくれ……私が式場建てるから……(無理)
22歳の室井。
一人暮らしも社会に出てからも2年が経ち、まあ慣れてきた所である。
家事が得意、とか仕事が出来るか、…というのは別問題だが。
名探偵コナンとの出会いは本当に小さい頃。でも赤井さんと安室さんを知ったのは映画から。何故だか急激に好きになった。自分が若いからかもしれないが、大人の魅力をとても感じた。
そして……喧嘩し合う2人の中に色々な感情を勝手に感じ取ってしまった。
安室さん……いや、降谷さんは大切な人をどんどん亡くしてしまっているから、大切に思おうとしない(赤井さんを)だとか、
赤井さんが安室さんを見る瞳が優しいだとか、
もう、本当に都合よく解釈してしまう……楽しい……
赤安の本を本棚に戻し、食べ終わったコンビニ弁当を捨てて歯を磨きに立つ。
シャコシャコと歯を磨きながらも頭の中は赤安で忙しい。
芯が強くてストイックな降谷零が私は大好きだ。そしてそんな彼が唯一力を認め、追いかける赤井秀一も大好きだ。その気持ちに気づいてからは…金がかかることこの上ない…。
歯磨きを終え、寝室に戻る。アレコレ考えても仕方が無い。素敵な赤安を読めているだけで満足じゃないか……
……でも、
「2人に会いたい……」
ぽつりとベッドで呟いて、私は眠りについた……
…そして、翌朝。
「……ん」
日差しが顔を照らす……もう朝かな……
……なんか枕が小さい……いや、細い……?
それに背中になんか温もりを感じる……
普段と違う頭に当たる感触と背中に当たる感触に違和感を覚え、ぱっちり目をあけると、
「………っ!?」
綺麗な褐色の肌に光る髪、整った顔を持ち私に腕枕をしている彼は 降谷零 そのものだった。
……と言うことはまさか……
美しき目の前の男性を起こさない様、バクバクの心臓を手で押さえながら後ろを振り向くと、布団の中でもニット帽を被る 赤井秀一 が私の身体に腕を回し、スヤスヤと寝ているのであった。