第4章 十傑の席を蹴った者
〜創真side〜
「見せてごらん、君が皿の上に語る物語を」
一色先輩にそう言われて、俺が挑発に乗らないわけがない。
我ながらそういうところは抑えが効かないのだ。
「お待ちを!」
そして俺は厨房に駆けていった。
(俺も春をテーマにして作るか。お食事処ゆきひら裏メニューその20が使えるな!)
俺が同じくサワラを使って料理をしていると。
「あれ、幸平料理してる?」
「まだお腹空いてるのかしら」
吉野と榊が起きてきた。
「料理対決だってよ」
「うお、伊武崎起きてたの」
(……あいつ起きてたのかよ!ぜんっぜん気づかんかった!)
俺も思わずフライパンを落としそうになった。
「で!二人が対決?なんでなんで?」
吉野がノリノリで聞く。
「さあな。でもこの勝負、一色先輩からふっかけてたぜ。……ああちなみに、九条もすぐにこの話に乗った」
「えーー!ほんとに!?が!?」
「ああ。あの九条がここまで食いつくとは思ってなかった」
(『あの』九条……?)
俺はやけにその言葉が引っかかった。
(本当にあいつ、何者だ……?)
だが、今はとりあえず料理に集中だ。
(ご飯をよそって上からお茶をかけてっと……よし、完成だ!)