第3章 極星寮
〜創真side〜
ただ今絶賛迷子中。
「この学校アホほど広いじゃねーか!!!」
寮を探し始めてから小一時間。
極星寮とかいう所に行かないといけないのだが、広すぎてどこにあるかわかったもんじゃない。
だが、周りにある建物は結構仰々しい建物ばかりなので、その寮もかなり豪華なのでは、と期待している。
体が冷えてきたから早く建物の中に入りたい。
その一心で歩いてきて、ようやく極星寮なるものを見つけた。
が。
「マジか」
そこは西洋のお化け屋敷みたいな見た目の寮だった。
とりあえず扉を開けて中に入る。
「あのー」
声をかけたはいいものの、誰も出てこない。
どうしたもんか、と思っていると。
どこかの部屋から黒い煙が出てきた。
「煙……?火事か!?」
創真は一歩下がって身構える。
すると次はいきなり建物が揺れた。
「じ、地震?」
そして今度は動物たちがいきなり廊下を走ってきた。
その後ろから少女がそいつらの名前を叫びながら、追いかけている。
目の前を一気に去っていった一団に俺は驚くしかない。
というか何だ、このよくわからない現象の立て続けは。
そんなことを思っていると、どこからか怒鳴り声が聞こえてきた。
「こらー!116号室!ジビエを部屋に入れるんじゃないよ!次やったらあんたの全身の皮を剥いでやるからね!」
「すみませーん!!」
「そして208号室!また勝手に空き部屋を燻製室にしたね!あんたをスモークチップで燻してやろうか!?」
「はいはい反省してまーす」
「それから205号室!もし床が抜けたらあんたの土手っ腹にも穴開けるよ!」
「い、以後気をつけます!……僕の部屋で喧嘩してるこいつらが!!」
俺が事情がよくわからずそこに突っ立っていると。
「入寮希望の編入生、幸平創真だね」