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イケメン戦国〜未来を夢見る〜

第12章 〜12〜






「私も、天涯孤独……なんだ。」

「……そうなのですか……?」

「うん。私の家は、4人家族でね。両親と年の離れたお兄ちゃんがいたの。」


私はなるべく戦国時代の人にもわかりやすく、言葉を選びながら話し始めた。


「私が10歳の時。私以外の3人が、車っていう乗り物に乗ってて、事故にあったの。」

「くるま……?」

「そう。今で言う籠かな?人力じゃなくて機械仕掛けで動くんだけどね。凄い早く移動出来て便利な乗り物なの。」

「へぇ……」

「その事故で、家族は私を残して皆死んでしまったの。即死だったみたい。」


優鞠は、そう聞くと悲しそうに顔を歪めた。


「家族を一瞬で亡くした私は、会ったことも名前も聞いたことない親戚と暮らすことになってね。その家は嫌々私を引き取ってくれたみたいで。家事はほとんど私に押し付けて。でも欲しい物は何一つ買ってくれなかった。お小遣いも貰ったことなかったしね。」

「…………」

「私はその家が大嫌いで。すぐにでも出たかった。でもまだ子供だったし、家出しても無駄なのは分かってた。だから、1人で生きていける年齢になるまでは、我慢してそこで暮らしてた。」

「辛かったでしょうね……」

「正直、ずっと思ってた。なんで私を置いて死んじゃったのって。お父さんでもお母さんでもお兄ちゃんでも、誰かひとりでも生きててくれたら、こんな寂しい生活しなくても良かったのにって。それか、私も一緒に死にたかった……」

「……わかります。その気持ち……」

「でしょう?残された側って本当に辛いよね……」

「えぇ……」

「でもね、だからって、自分で死のうとは思わなかった。いつか、寿命がきて、真っ当に死ねるまで私は家族の分まで生きなきゃって。それが私に出来る唯一の親孝行かなって思ってたんだ」


優鞠は目に涙を溜めて話を聞いている。
優鞠はやっぱり優しい子だなと改めて感じた。




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