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イケメン戦国〜未来を夢見る〜

第48章 〜





あれは、俺が信長様に仕えるようになって数年が経った頃の話だ。

その頃の信長様は領土を各地に広げることに勤しんでいた。

そして家臣の俺は信長様の名でとある領地を奪い取るための戦に出ていた。

その戦で、初めて俺は殿(しんがり)を任され緊張しながらも戦場に出向いたことを今でも覚えている。



今でこそ織田軍には参加も含め戦場に出向く家臣は男しかいないが、当時は珍しく1人だけ女がいた。

彼女は織田軍傘下の武士の家の娘で、名は優良といった。
俺と同年代で、同じような立場で、同じ隊に配属されることが多く何かと話すうちに仲良くなり、いつしか恋仲となって数年が経っていた。


女にしては優良は刀の扱いも上手く、戦場では強く逞しい女だったが、1度戦場を離れると普通のどこにでもいるような女だった。

少し気が強い所もあってら何かと良く喧嘩したりもしたが、そんな時間も愛しくなるほど俺は優良を愛していた。


初めて殿を任された戦で、優良は俺の隊にいた。
殿を無事に務めあげ、己の武功を挙げること。
信長様の命を成し遂げること。
そして、優良を守る。

この戦を勝ち抜き無事に共に城に戻ったその時、俺は優良に婚約を申し込もうと心に決めていた。
そんな決意を胸に戦に出向いて緊張しきった顔の俺に、優良はけらけらと笑いながら言った。


「ねぇ」

「なんだ?」

「なんか顔怖いけど大丈夫?怖いの?」

「...あのなぁ。俺は真剣なんだ」

「そりゃそうでしょうけど」

「いいから黙って待機してろ」

「はいはい」



優良は戦の雰囲気に慣れきっているのか、そもそも恐怖を感じていないのか
戦ではいつも飄々とした雰囲気を纏っていた。

そんな優良をみると、緊張していた気分が落ち着くのと同時に彼女を守りたいと思う気持ちでいっそう身が引き締まるのが毎度のことだった。








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