第46章 ~46~
今日は天気がとてもいい。
最近はそんな陽気が続いていて、それだけで毎日楽しくなる。
私は襷がけをして前掛けを付けて、意気揚々と外に出た。
「お清ちゃん、おはよう」
「おはよう!今日も商売日和だね」
「ああ、精が出るね。頑張りな」
「はーい」
町の人と会話しながら、店を開く支度をする。
私の家は、安土で一番老舗のお茶屋だ。
他の店より甘味の種類は多いし、昔からの常連さんも安土へやって来た旅人にも人気がある。
長椅子を並べて赤い布を被せて、最後に傘を開いた。
「さてと」
私が支度を終わらせると同時に、中から呼ばれて振り向いた。
「おい、清良」
「お父ちゃん、なにー?」
「悪い、砂糖仕入れるの忘れた」
「えぇー。もう、またなの?」
「悪い悪い、ちょっとひとっ走り行ってきてくれ」
「はいはい」
「頼むな」
お父ちゃんは店で出す甘味を作っている。
お茶を立てるのはお母ちゃん。
そして売り子の私の3人で店を切り盛りしている。
でも、お父ちゃんはうっかりが多くて、こうして私が度々尻拭いをするハメになっている。
私は店を出て、砂糖を買いにいつもの店へと向かった。