第44章 〜44〜番外編③
最初は静かに聞いていた秀吉さんは、私が危ないかもと思いながら1人で部屋に行ったと光秀さんが話した途端にぱっと私を見た。
「……」
「……はい。(怒ってるよ……)」
「待て、秀吉。話はまだ終わってない」
「……はい。」
信長様に止められて秀吉さんは口を噤んだが、変わらず目は私を見ていた。
そんな秀吉さんを光秀さんはさして気にせず話を続ける。
「それで……俺が部屋に入ると、は東雲に押し倒されていた」
光秀さんがさらりと言うと、ふたりの声が重なった。
「「はぁ?」」
「くくっ」
光秀さんはふたりの驚いた顔を見て、笑っている。
信長様はニヤニヤと私を見ている。
残るふたりも、未だ驚いた顔で私を見ている。
「東雲は、花魁でありながら同性を好む様だ。もちろん、助けてやったが……は事もあろうに、自分を襲った女に『友達になりましょう』と言ってのけた」
「…………お前は馬鹿か……」
秀吉さんは怒りを通り越して呆れた顔で私を見た。
「はい……(でも、そうしたいと思ったんだもん……)」
「……そして、を連れ出そうとしたら……まんまと東雲に唇を奪われたな」
光秀さんは政宗の顔を見ながら言った。
「……は?」
「そうだ。一瞬の隙をついてな。流石に俺も防げなかった」
「……はぁ……」
政宗は溜息をついて、私の腕を引いて自分に向かせた。
「お前、なにやってんだよ」
「……ごめん……」
「まあ、後でな」
「…………」
「返事は」
「……はい……」
怒ってるようでも呆れているようでもない、読めない表情の政宗に少しだけ怖さを感じていると、信長様に名前を呼ばれた。