第38章 〜38〜
「いいもんだな」
「なにが?」
「朝起きて、最初にお前の顔を見られるのって」
「……え?」
「一瞬、まだ夢を見てるのかと思ったぐらいだ」
「……私の夢見てたの?」
「ふ、内緒だ」
政宗は人差し指を自分の口に当てて微笑んだ。
その姿にドキリとして顔を俯かせる。
「ほら、行くぞ」
「……うん……」
政宗に手を引かれて歩き出す。
(……ほんと心臓に悪い……いちいちかっこいい……)
恋仲になったばかりの時は、気持ちが通じた嬉しさでいっぱいだった。
でも、一緒に時間を過ごす度に毎回違う顔を見せられてますます気持ちが膨らんでいく。
そして毎回ドキドキさせられて、私ばっかり照れている気がして政宗の言う通り、この先の自分が思いやられてしまう。
でも、それすらも幸せに思えて頬が無意識に上がるのを感じて、前を歩く政宗に見られないよう俯いた。