第38章 〜38〜
「」
「……なんでしょう」
「お前、昨日の事全部話せ」
「……えぇ……」
「お前が昨日泣いてた理由教えろ」
「……光秀さんと誰にも話さないって約束したから。駄目。」
「…………」
一層不機嫌そうに私を見て政宗はすっと手を私に伸ばした。
(……え、殴られ……)
咄嗟に目を閉じて身構えると、頭に優しい感触を感じてゆっくりと目を開く。
「……ま、政宗……?」
「……お前がそういうなら無理には聞かねぇよ。でも、あいつの為になんか泣くんじゃねぇ」
「……だって……」
「あ?」
「はい。ごめんなさい。」
「素直でよろしい」
「……別に酷いことされたとかそういうんじゃないの。ただ、光秀さんが悲しい話するから……私も悲しくなっちゃって……」
「……お前は優しすぎるんだよ」
「……え?そんなんじゃないよ……私なんて……」
政宗はさっきとは打って変わった優しい顔で私を抱き締めた。
「……政宗……」
「……お前が人の事考えて動けるとこ、俺は好きだ。」
「……うん……」
「俺がそう言うんだから、自信持て」
「……うん……ありがとう……」
身体をゆっくりと離すと、自然に見つめ合う形になった。
政宗の顔が近づいてきて、私もそっと目を閉じると暖かい口付けが降りてきた。
「……んっ……」
段々と深くなる口付けに、息が苦しくなり咄嗟に政宗の肩を優しく押した。
「……なんだ」
「……く、くるしい……」
私が顔を赤らめてそういうと、政宗は渋々身体を離して立ち上がり、ニヤリと笑って私を見下ろした。
「まったく、口付け位でその様子じゃこの先大変だぞ?」
「……が、頑張ります……」
「ほら」
差し出された手を握ると、立ち上がらされた。
「朝餉食いに行くぞ」
「……うん!」
「ありがとな、起こしに来てくれて」
「ううん。私もちょっと悪かったかなって思ったし……」
「まあ、それもそうだな」
「……ごめん……」
「ふ、もう怒ってねぇよ」
「ほんと?」
「ああ。」
(よかった……)
そっと胸をなでおろしながら、政宗に手を引かれて部屋を出た。