第37章 〜37〜
宴の支度を終え、軍議の終わりとともに広間に運び終えるだけとなった。
宴が始まるまで、女中仲間と休憩を取っていた。
(……お料理運びに行ったら話せなくても、顔は見れるかな……)
「ねぇ、優鞠」
「なんですか?」
「様と政宗様が恋仲になったって本当?」
「……え?」
「この前町の神社でお祭りがあったんだけど、2人で歩いてるの見たって子がいてね。」
「……へぇ……」
「あと、昨日手を繋いで廊下を歩いてたのを私も見たのよ……」
「そうなんですか……(まあ、皆に知れても問題は無いのかな……でも私が皆に言うのはなんかな……にもそう了承得てないしな……)」
私がどう返そうか悩んでいるのに気が付かないのか、勝手に話は盛り上がっていく。
「政宗様って素敵よねぇ……様も可愛らしいお方だし、お似合いよねぇ……」
「そうよね、羨ましいわぁ。」
「武将の皆様は美男な方ばかりだから、働きながら目の保養も出来て幸せよね」
「そうそう。今は特に政宗様と家康様がいらっしゃるから、特に眼福よねぇ」
(…………この手の話は昔から苦手だけど、なんとなく前より気まずい……)
「優鞠?どうかした?」
黙り込んだ私を見て、2人は不思議そうに私を見た。
「いや、えっと……」
「「?」」
私が答えに戸惑っていると、お珠さんが厨房を覗き込んだ。
「優鞠。ちょっといいかしら」
「あ、はい。すぐ行きます」
私は2人に軽く頭を下げて厨房を後にした。
(助かった……)
「優鞠、何度もお願いして申し訳ないんだけど……」
「はい。何でしょう?」
「今度はね、針子を手伝いに行くから一緒に来てもらえる?急に大口の用命が入ったみたいで……」
「わかりました。行きます。」
「助かるわ……。ありがとね」
「いえ、仕事ですから」
針子部屋に向かっていると、お珠さんがふと私に問いかけた。