第37章 〜37〜
(……私から会いに行くのって初めてだな……御殿にいるかな……)
家康の御殿へと廊下を歩いていると、前からお珠さんが歩いてきた。
「あら、優鞠。いいところに」
お珠さんは私を見つけると、嬉しそうに笑った。
「どうしました?」
「今日、この後軍議なの、恐らくそのまま宴になるだろうから、準備を手伝ってくれる?」
「あ、はい。勿論お手伝いします」
「ありがとう。じゃあ、厨房へ行ってくれる?皆もう支度を始めてると思うから」
「わかりました」
お珠さんは忙しそうに去っていってしまった。
(……家康の所行きたいけど……軍議なら今は無理だろうし、宴の手伝いも行かなきゃだし……今日は会うのは無理かな……)
私は少し落ち込みながらも、厨房へ宴の手伝いをしに向かった。