第34章 〜34〜
「……家康どこ行ったんだ?」
「優鞠のところ。勝負つけに」
「勝負?」
「まあ、勝ち戦ってやつ?」
私が上機嫌にお酒を一口飲むと、政宗は考えが合致したとばかりに頷いた。
「ほう、じゃあ優鞠に告白しに行ったのか」
「ちょっと。声大きいよ」
「いいだろ、別に。どうせすぐにバレる」
「家康はそれでもいいかもしれないけど……優鞠の気持ちも分かってあげて。優鞠が了承してないのにあんまり大事にしたくないの」
「わかったわかった」
「うん」
(家康の事になると、政宗ってお兄ちゃんみたいな顔するよね……)
政宗はからかってやりたいという表情をしながらも、どこか嬉しそうに優しく微笑んでいる。
(……家康……優鞠と会えたかな……上手くいくといいけど)
次にふたりに会ったら、嬉しい報告が聞けることを祈りながら、私はまたお酒を一口飲んで微笑んだ。