第31章 〜31〜
軍議に向かう2人と共に城に戻ってから別れ、私は1人自分の部屋へと戻るため廊下を歩いていた。
すると、三成くんが前からやってきた。
「様」
「あ、三成くん。お仕事お疲れ様」
「はい。」
「これから軍議なんでしょう?大変だね」
「いえ、必要な事ですから」
三成くんは笑顔を絶やさず答えた。
(三成くんって、基本笑顔なんだよね。すごいなぁ)
私が感心していると、三成くんは私に本を差し出した。
「様、これがお願いされていた物です」
「あ、ありがとう……」
受け取ってページをめくると、文字の書き方、読み方が練習できるような、現代でいう子供向けのドリルのようなものだった。
「そのような内容で良かったですか?」
「うん。こういうのが欲しかったの。すごく助かるよ、ありがとう」
「いえ、喜んで頂けて私も嬉しいです」
三成くんが嬉しそうに微笑むので、つられて私も自然と笑ってしまう。
「忙しいのに、わざわざ届けてくれてありがとう」
「とんでもない。こういうのは早い方がいいかと思いまして」
「うん。早速部屋に帰って勉強するね」
「はい。あまり無理しない程度に頑張ってくださいね」
「大丈夫。色々ありがとうね」
「こちらこそです。また、お時間が出来たら書庫の整理を手伝って頂けると助かります」
「うん。いつでも声かけてね?」
「はい。では、そろそろ軍議へ行ってまいります」
「うん。頑張ってね」
「はい」