第29章 〜29〜
「俺だって怖い」
「……え?」
「今まで、こんなに惚れた女はお前だけだ」
「……ほんと?」
「ああ。こんなに触れたいと、離したくないと思う女には初めて会った」
「……うん……私もだよ……」
頬にある政宗の手に上からそっと自分の手を重ねた。
「お前のこと好きすぎて、頭がおかしくなりそうなんだ」
「うん……」
「俺が俺で無くなるような……そんな気がするんだ」
「……わかる。その気持ち……」
「俺は、不安だからお前の身も心も早く自分のものにしたいと思う。でも、お前身体を重ねることを怖がるのも理解はしているつもりだ。」
「…………」
「だから、お前に不安が無くなったら……その時は容赦しねぇからな」
「………うん……(容赦しないって……)」
頷いた私を見て政宗は笑いながら言った。
「ま、俺の我慢に限界が来たらわかんねぇけどな」
「……そんなに待たせない……はず……」
私が消え入りそうな声で呟くと、政宗は嬉しそうに私の頭を撫でた。
「ほう?それは楽しみだな」
ニヤリと笑って唇を掠め取られた。
「……(覚悟決めなきゃな……)」
未だ早く鳴り響く鼓動を感じながら、先に部屋を出る政宗に続いて慌てて部屋を出た。