第28章 〜28〜
昼が過ぎ、仕事がひと段落し一息付いていると家臣に声をかけられた。
「秀吉様、様がお待ちです。」
「ああ、すぐ行くって伝えてくれ」
「かしこまりました」
さっと身支度を済ませ御殿を出るとが待っていた。
「忙しいのに案内頼んでごめんね」
「構わないって言ったろ。兄は妹の世話を焼くもんだ」
「ふふ」
(まったく)
兄妹として仲良くやろうと決め合ったのに、はなかなか遠慮が抜けなくて苦笑いしながら答える。
(妹らしく素直に甘えてればいいんだ。みたいな女は笑顔が1番似合う。)
歩き出して案内を始めた。
自分の御殿から程近い武器庫を最初にしたのは距離の問題だけではなく、なんとなく後回しにしたくなかったからだった。
武器庫番の仕事を軽く説明していると、否が応でも過去の記憶が蘇りそうになる。
例えがこの時代の生まれでも、武器を手にするような仕事は例え戦に直接関係無くてもして欲しくなかった。
いや、だけじゃない。
女は武器なんて持たなくていいんだ。
戦は男の仕事。
説明しながら、そんなことを改めて思いながら早々に武器庫の説明を終えた。
「可愛い妹を危険な目に合わせたくない兄貴のわがままだ」
そういって、心境を悟られないようにの頭を撫でた。
はまだ武器を見つめていたが、頭を撫でると何か気にしてるように笑った気がした。
(戦に対しての恐怖心だよな、きっと)
そう解釈して自分を納得させた。