第28章 〜28〜
御殿へと戻り、文机にかけ文の整理をしながらふと思い出した。
(あぁ、そう言えば家康が優鞠について気にしてたな……)
数日前の宴で、家康にされた質問をふと思い出した。
(家康と優鞠か……歳も近いし似合いじゃねぇか?)
あの時の家康は優鞠が何故この城で働いているのか知らなかった様だった。
いくら信長様と同盟を結んでから、安土城へと頻繁に来るようになって、敷地内の御殿へ住むようになったとしてもこの城で働く全ての女中の顔を見るのは難しいだろう。
(しかし、顔を見て分かるってことは元は知り合いだったんだろうな。あの墜ちた大名と徳川家は繋がりは無かったはず……ってことはやはり家康が人質として織田家に居た時、関わりがあったのか……優鞠の父親は織田家傘下の武将だったからな。まあ……俺には関係ない話だけどな……)