第25章 〜25〜
「……さ。ご飯にしよ?」
「ああ。」
出来上がった料理を部屋に運び、机に並べて、向き合って座った。
「さぁ。召し上がれ」
「ああ。」
政宗がムニエルに箸を入れ、1口食べる。
「どう?」
「食べたことの無い味付けだ。」
「……やっぱり?」
使える調味料に限りはあるが、なるべく自分が仕事で作っていた味に近づけて作ってみた。
この時代では無い味だろうから、不安げに政宗が食べ進めるのを見守る。
「……どうかな……(美味しいか不味いか言ってよ……)」
全ての料理に箸をつけ、政宗が私を見て言った。
「美味いぞ」
「ほんと?」
「ああ。今までにこんな味付けの料理食ったことない。でも美味いな」
「よかったぁ……」
「トマトも、こうして食ったら美味くなるもんだな」
「ね。」
私も料理に箸をつけながら答える。
「うん。全部美味い。」
「よかったぁ……」
「そんな心配してたのか?お前料理人だったんだろ?」
「うん。そうだけど……」
「ん?」
「……個人的に好きな人に料理作るのなんて初めてだったからさ。しかもいつも使ってる様な台所じゃないし……不安だったの。」
「……そうか。」
「でも美味しいって言ってもらえて嬉しい。」
「おれは世辞は言わないからな」
「ふふ、ありがとう」
2人で料理を食べながら、たわいも無い話をして笑いあって。
そんな時間がとても幸せで。
同時にいつ戦が起こるのか不安もあるが、今みたいな時間を精一杯楽しんで、帰りを待つ時間の糧にしようと密かに心に決めた。