第17章 〜17〜
「まあ、本音を言うと、君が上杉軍の姫だったら良かったんだけどね」
「……それを言うなら佐助君が織田軍の忍びなら良かったのに」
2人はお互いにそういうと笑いあった。
「じゃあ、今日は夜も深まってきたし。そろそろ俺はお暇するよ」
「うん、また来てね」
「ああ、しばらくは安土にいる予定だから近いうち顔を出すよ」
「わかった。待ってるね」
私がそう言うと、佐助はあっという間に音もなく天井に登っていた。
「あ、くれぐれも俺と会ったことは織田軍には……」
「わかってる。誰にも喋らないよ」
「頼む。じゃあ、また」
カタンという音と共に天井の穴が閉まる。
そしてその後はなんの音も聞こえなかった。
(忍びって……凄いな……)
私ははそんなことを思いながら、佐助と再び会えたことが、そしてまた新しい友達が出来たことが嬉しくて、1人微笑みながら寝る支度をはじめた。