第17章 〜17〜
「私がこの時代に飛ばされてさ、現代で私が居たことってどうなってるのかな……」
「それは俺の憶測だけど、失踪したって事になるんじゃないかと思う。」
「し、失踪?」
「ああ、君や俺が生まれてから関わった人、場所はそのままで本人だけが消えた……って事になってる。」
「……なんでわかるの?」
「実は、1度現代に戻ったことがあるんだ。」
「え……それでまた戻ってきたの?」
「ああ。君と同じ疑問を持ってね。自分が消えて現代がどうなってるのか気になったから戻ったんだ。」
「へぇ……」
「時間経過は同じみたい。俺が戻ったのは1週間後だったから、研究室に顔を出したら1週間連絡もつかないで何してたんだって怒られたよ」
「……それで……どうしたの?」
「次のタイムフープが現れる時期を調べて、それに合わせて研究室を辞めて、身辺整理して改めてこの時代に来たんだ」
「……本当に一生戻らないの?」
「ああ、そのつもりだ。本当はこの時代の日常を事細かに記録して現代に持っていきたいけど、どうやらこの時代のものは現代に持ち帰れないみたいなんだ」
「現代の物は持ってこれるのに?」
「ああ、意図して持ってこようとしたものは駄目らしい。俺もこっちに戻ってくる時、戦国歴史に関わる本を持ってきたんだけどこの時代に来たら消えていたんだ」
「じゃあ、持っていけるものは……」
「自分の記憶だけ……ってことかな」
「そっか……」
「あと何か疑問はある?俺が答えられることならなんでも答えるよ」
「えっと……」
「まあ、今じゃなくても近いうちにまた来るから、その時にでも構わない。」
佐助くんは未だ頭が混乱している私を見て、優しくそう言ってくれた。