第17章 〜17〜
「さんはどうやってこの時代に来たの?」
「京都に旅行しててね、本能寺の跡地の石碑を見に行ったら急に天気が崩れて……目の前に雷が落ちたと思って……目が覚めたら本能寺の中にいたの……」
「本能寺の中って……この時代の?」
「そう。本能寺の変の真っ只中で……」
「本能寺の変の真っ只中?」
「うん。私……織田信長助けちゃった……」
「……それは……歴史が変わってしまったな」
「……そうだよね……」
「まあ、それが悪い事だと俺は思わない。歴史ファンとして、織田信長程の武将を失わずに済んだ事で歴史がどう変わるのか興味深い」
「……(なんか変わった人……)」
「だからさんは安土城に居るんだね」
「あ、そうなの。あの時『この先の村に居て』って言ってくれたのに、随分移動しちゃってここに来たから、もう佐助君に会えないかと思ってたんだけど……」
「あの次の日、村に行ったのに見つからなくて。もしやと思って安土に来てみたら、城に新しい姫が来たって話で持ち切りで。やっぱり君のことだったんだね。」
「ひ、姫?」
「ああ。町の人達はそう言ってた。」
「私……姫じゃないんだけど」
「きっと織田信長がそういう事にしたんじゃないかな。未来から来た人間だなんて言えば周りの敵軍から狙われかねないからね」
私は信長様の配慮にありがたい気持ちと、狙われると言う言葉とで複雑な気持ちだった。