第16章 〜16〜
「あ、ありがとう優鞠」
「……どういたしまして」
「ふふ」
ぎこちないながらも敬語を使わないでくれる優鞠がとても可愛らしく思えた。
「ねぇ、優鞠。ちょっと話があるんだけど」
「あ、ごめん……今から女中の集会があって行かなきゃ行けなくて……」
「そうなんだ……」
「急ぎの話……?」
「ううん。急いでる訳じゃないの。だから集会?行ってきて」
そう言って笑う私を優鞠は申し訳なさそうに見た。
「明日必ず聞くから。」
「うん。ありがとう。」
「じゃ、布団は敷いたし、寝間着も置いておいたから。」
「ありがとう。(これからは布団とかも自分でなるべくやろう……)」
「どういたしまして。じゃあ、私行くね」
「うん。おやすみ優鞠。」
「おやすみなさい」
そう言って優鞠は軽く頭を下げて部屋を出ていった。
私はお茶を入れながら、政宗が訪ねてくるのを待った。
入れたお茶を飲んで一息ついていると、政宗がやって来たのか襖が開いた。