第21章 企み秘めたる結婚式
ホテルに戻って、着替えて外で食事して、またホテルに戻ってシャワーを浴びて。
今日1日を無事に終わらせられた気がする。
やっとゆっくり出来ると思って、ベッドの上に横になると秋紀が隣に入ってきた。
「りらって花には詳しいか?」
いつも、寝る前にはちょっと話をするのだけど、今回のこればかりは意味が分からない。
私が、普通の女性の好きそうなものを好んでいるとでも思ったのだろうか。
名前を聞けば、なんとか分かる程度の知識しか持ち合わせてないぞ。
「…赤葦が、黒尾に言ってたんだけどな。あのブーケ、ベゴニアって花だってよ。」
鉢植えでしか見た事が無いような花の名前を出されて、更に意味が分からない。
そんなもの、どうしてブーケにしたのか。
私に、その答えを導き出せと言われても無理な話だ。
一応は考えてみるも、思い浮かぶ事柄なんか無くて黙り込んだ。
「そんな難しい顔すんなって。こういう事だよ。」
目の前に出されたのは、文字が表示されたスマホ。
そこには、ベゴニアの花言葉が載っていて。
「裏で動いて結果出す赤葦達らしいよな、これ。」
「結果、出たら嬉しい。」
軽く頷いて、同意を返す。
花で気持ちを伝えるとか、相手が知らないと意味が無い事だけど。
スマホの画面に並んだ言葉は、どれも黒尾さんときとりちゃんにピッタリだと思えた。