第11章 裏で動いた恋模様
‐みつside‐
姉ちゃん達と別れてから向かった部屋。
合鍵を渡されているから、勝手に入る事に抵抗はない。
「…おかえり。」
笑顔の欠片もなく、平坦な声で私を迎えた家主、ケージくん。
「上手くいった?」
次いで掛かる声は、姉ちゃんに乱暴した男への復讐の成否。
頷きで答えると、微かに口元が笑ったのが見えた。
「そう。じゃあ、次は…。」
ケージくんの視線が、テーブル上に乗った紙に向く。
そこには、何人もの名前が掛かれていて、半数以上は斜線で消されていた。
これは、ケージくんの復讐計画書。
その対象は、姉ちゃんに危害をくわえた人物。
ここに名前が書かれた人物を何人も、時には非合法的な手段まで使って陥れてきた。
紙を捲り、次の計画を思案するケージくんの隣に座る。
一緒に計画書を眺めていても、この人は私に一切の意見を求めてこない。
それは、私がただの駒である事を意味していた。
この、赤葦京治が練った作戦の通り、盤上で動くだけ。
人として扱われていない気もしているけど。
私は最後まで、この男の駒であろうと決めている。
だって、これは…。
私の復讐でも、あるのだから。