Volleyball Boys 2《ハイキュー!!》
第9章 ☆アルコールぱにっく:山口
天草星菜 version.
それは夏休み合宿も最終日のお昼のことだった。各校のマネージャーと手の空いている先生が総出で用意、食堂と体育館の外とを駆け回る姿が何度も見られた。
そして最後の試合、烏野vs梟谷は復活した木兎の活躍により梟谷の勝利。フライング1周を終えた烏野部員達は、ぞろぞろと外へ集まる。そこには準備万端の肉、肉、肉!
そして、いただきますの大合唱の後に、血で血を洗う(!?)肉獲り合戦が始まったのだ。
「食べ頃イタダキ!」
「木兎テメッ、それは俺ンだ!」
「皆さんじゃんじゃん食べてくださいねー」
「こっちにおにぎりもらえる?」
「リエーフがむせた!水!!」
マネージャー達にハートの視線を飛ばす者あり、巨人の密林に怯える者あり、そして後輩にお節介をする者もあり…とまぁ、こんな具合にてんやわんやの大騒ぎ。
その一角で、烏野1年の山口忠とその彼女の天草星菜、月島蛍らがもぐもぐとBBQを頬張っている。
『山口君、これちょうど食べ頃だよ』
「ありがとう。ツッキー、お肉は?」
「自分で取るし。山口うるさい」
「ごめんツッキー!」
このやり取りも、もはや恒例化。仲が良いなぁと思い、天草はクスリと笑った。その笑顔に山口がポッと赤くなり、紙皿を取り落としそうになる。慌てた山口と天草の手が触れ合い、今度は2人してポポッと赤くなる。
こいつら、なんなんだろうか。
と、今までに何度思ったのか分からない疑問が、月島の頭にふと浮かぶ。
『えと、私飲み物お代わりしてくるねっ///』
なんとなく恥ずかしくなり、パタパタとお茶をお代わりに行く天草。テーブルの上にちょうど置いてあった琥珀色の飲み物を手に取ると、山口の元へと駆けていった。
さて、そこへやって来たのは烏野顧問の武田、そして同じく烏野コーチの烏養だ。
「先生、ここにあったビール知らないか?」
「さぁ…猫又監督じゃないですかね。あの人はお酒が好きみたいですからねぇ…」
「ったく、あのじいさんはよぉ…肝臓をちったぁ大事にしろっつんだよなぁ」
ぶちぶちと愚痴を言う烏養に、はははと武田は苦笑いした。結局、そのビールの行方は分からず、仕方無く烏養は新しく缶ビールを開けたのだった。