Volleyball Boys 2《ハイキュー!!》
第8章 ★18年分のダイスキを。:花巻
【花巻 side】
『貴大っ、たんじょーびおめでとーっ!』
朝、家を出た俺を迎えたのは、幼馴染みで彼女の星菜の満開の笑顔とその言葉だった。
「おー、はよ」
『え、ちょ。なんか冷たくないですか!?』
「いや別に?」
『もー、貴大ってば照れちゃってぇ』
「は?照れてねーし」
スタスタ歩き出すと、それっ!と聞こえ、直後に後ろから星菜が背中に抱き付いてきた。
『一番におめでとうってあたしが言いたかった。って言ったら貴大怒っちゃう?』
耳元で聞こえた、少し震えた困ったような声。ったくどうしてこう、クソみたいにカワイイことを平気で言うかな。
「怒るワケねーだろ、ばーか」
『なっ、バカってなによ!』
「じょーだん」
背中から離れた星菜を、今度は俺が、正面から抱いてやる。ぴくりと肩が跳ねたものの、大人しく身を任せてきた。
「あのな。誕生日の朝家出たら大好きな彼女がいて、おめでとうって言ってくれて、しかも一番に言いたかったとかさぁ。それをイヤがる彼氏とか、鬼畜かっつーの」
『え、じゃあ…』
「………嬉しかったよ…サンキュ……///」
クソ、結局こーなんのかよ。そう思いつつ、大好き大好きと胸板にすりすりしてくる星菜の頭を撫でてやった。それから手を繋いで、一緒に学校へ向かう。めっちゃ寒い朝だけど、心はぽっかぽかだった。
それから昇降口で及川たちに会った。俺らを見た瞬間、ニヤリと及川が不敵に笑った。
「あれマッキー、彼女と登校で…」
「誕生日おめでとー」
「はいこれ、俺らからプレゼント」
「おー、サンキューな」
「ウンやっぱりスルーなんだね!?」
『あ、みんなおはよー』
岩泉からプレゼントを受け取り、いつものように扱われる及川にげらげらと笑う。と、コートの袖をくんっと引かれた。
『そだ。貴大、今日一緒に帰れる?』
「おう」
『やった!』
にこにこ笑う星菜に俺も笑う。及川たちに礼を言って、教室に向かう。その背後でこんな会話があったとかなかったとか。
「マッキーいいなぁ。ラブラブじゃん」
「相変わらず仲良いよな、あいつら」
「幼馴染みだからだべ」
「そうか!じゃあ俺と岩ちゃんも…」
「死ね」
「えーっ!?」
「またやってら-w」