第7章 ★Look at me！：田中

翌日。朝部活に向かうと、いつものように星菜が挨拶をしてきた。ただ、昨日までとは違うことが1つある。


『龍先輩おはようございます！』

「おはよ。そういや体大丈夫か！？」

『大丈夫です』


ふふっと笑う星菜の髪を、くしゃりと撫でた。そう、俺たちは彼氏彼女になったので名前で呼び合うことになったのだ。


「お、龍は今日も早いなー！」

「ノヤっさん！」

『西谷先輩っおはようございます！』

「天草おっはよー！」


それからぞろぞろと部員が集まり、軽くストレッチをしてから練習。一通り基礎の練習をして朝練は終了。星菜と最後まで残り、片付けを終わらせる。と、ドアの所に縁下とノヤがいた。


「あれ、まだ教室行ってなかったのか？」


そう問うと、縁下とノヤは顔を見合わせ、それから気まずそうに俺を見てきた。何事かと星菜も駆け寄り、2人が話し出すのを待つ。


「……お前ら、昨日部室でヤったか？」

「『っ！？！？』」


2人してビクーッ！とする。やっぱりな、と縁下が苦笑した。


「着替えの時にさ、日向とか影山が変な臭いがするって騒いでたんだよ」

「大地さんたちは察してたけどなー」

「マジかー！？」


なんてこったい、オーマイガッ。くそぅ、こんなことなら最後にリセッシュするべきだった、と項垂れた俺に、星菜はそこじゃないですよ、とつっこむ。


「どっちにしろ、くっついたんだな」

『はい。無事、くっつきました』

「天草、龍のこと頼むな！」

『西谷先輩、頼まれました！』

「コラそこー、仲良くなるなー！」

「田中、もうはや束縛してんのかぁ？」

「嫌われる要因第1位だぞー！」

「えっ！？」

『そんなことないですよ』


ゲーンとする俺に、星菜は笑う。


『わたし、龍先輩しか見てませんもん。龍先輩もわたししか見てない。でしょ？』


呆気にとられ口を半開きにして何も言えない俺らに、星菜は違いますか？と首を傾げる。


「そうだ、俺は星菜しか見ていない！」

『よかったぁ！』

「なんかもう、お前ら勝手にしろよ…」

「あー、腹へったー！」

「うおぉぉぉお、星菜―――っ！」

「「うるせぇ！！」」

『あははっ』




The End.