Volleyball Boys 2《ハイキュー!!》
第5章 ★ヤキモチの裏返し:二口
俺に背中を向け、布団にくるまる星菜。その背中をツンツンとつつきながら、俺は何度目か分からない謝罪を口にした。
「ねー、ごめんってば」
『やだ』
「だから俺が悪かったって」
『やぁだ!』
「ごめんって、俺も3ラウンドまで勃ったままになるなんて思わなくてさぁ」
『もー、二口のバカ!』
ボス、と俺の顔に枕が飛んでくる。うわぁダメだ、今まで何度となくケンカしてきたけど、この怒り方は比じゃねえ…
コトを済ませたわけだが、星菜さんは大層ご立腹の様子。まぁ俺が完璧に悪いんだけどね。星菜がムリだってガチで言ってるのに2回も3回もヤったからなんだけどね。
『……腰、痛くなったら責任とってよね』
「それは、どのように…?」
『荷物持ちでチャラにしたげる』
「………いつの?」
『あーもう、だから!……これからは朝一緒に学校行こうねって言ってんの………///』
「マジか!?」
『うっさい///』
呟く星菜の声に照れが見える。同級生にからかわれたくないとかで、ずっと拒否していた一緒に登校すること。それを星菜の方からしたいと言うのだ。
「星菜ー、好きだー!」
『ちょっばか!急に抱き付かないでよ!?』
堪らず後ろから星菜を抱きしめる。素肌のスベスベとした感触が気持ちいい。
「いやーなんか俺だけ得してるねー」
『ほんとだよ…』
「でもま、ヤキモチの裏返しってことで!」
『一件落着、みたいに言わないでくれる?』
はぁ、と星菜がため息を吐いたその時、ピロリロリン、と着信音。LINE独特のその音は、星菜のスマホから鳴ったもの。
『あ、きっと及川だ』
「おい、4ラウンド目イッとくか?」
『丁重にお断りさせていただきたく……』
「ならもう少し、このままな」
『うん。あ、待って。そっち向く』
もそもそと星菜が動き、俺の方を向く。それからぎゅむっと抱き付いてくる。マジでやらけぇなぁ。気持ちぃ…
『二口、好き』
「あれ、堅治って呼んでくれないの?」
『ちょっ、ちょーしノるなバカ!』
ぽか、と星菜が俺を殴る。愛の拳だねぇ、と思い、俺は一層強く腕の中のかわいらしい物体を抱きしめるのだった。
The End.