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Volleyball Boys 2《ハイキュー!!》

第2章  立場違えど想いは1つ:京谷




【天草 side】


賢太郎に連れられ、岩泉、花巻、松川とアメリカに逃げてから、半年が経つ。全員分の携帯は海にぶん投げ、身分証明も上手いこと花巻が偽装したようで、問題無し。

本当に穏やかな日々が続いていた。


『でもなぁ。まさかサンフランシスコでのんびりできる日が来るなんて思わなかったよ』

「オレも。しばらくは裏で生きると思った」

『人生、何があるか分かんないね』

「そうだな」


松川の知り合い(ものすごい資産家)がアメリカに住んでいたようで、物件やら何やらを全て手配してくれた。お陰でこんなだらけきった毎日だけど、それなりに楽しい。

今日も近くの海に遊びに来てるのだから。

岩泉たちは元々仲が良く、また権力が移りかかっていた及川もよく思っていなかったらしい。私に何かあった時は手を組もう、と前もって話していたらしい。


『賢太郎』

「ん?」

『丸くなったよね』

「そうか?お前も、顔が優しくなった」

『環境って、たいぶ影響あるんだね』


人生は不公平だ。でも、幸せをその手に掴もうと、運命に、環境に、周りに、抗うことはできる。足掻くことはできる。

自分は不孝だ。そう嘆くのは、何もできることがなくなってからだ。使える手を全て使い尽くして、その時に言うべきだ。


『賢太郎のお陰で、今の私がいる。不思議だな。賢太郎といれば、普通の料理も普通の景色も普通の事も、全てが楽しい。全てが、キラキラとして見えるんだもの』

「星菜…オレも、だ」


ふと、隣の賢太郎と目が合い、それからどちらからともなく唇が重なる。


「うっわ、京谷ダイタンだなー!」

「お嬢、今からでも俺にしませんかー!?」

『なっ、花巻松川こっち見るな!』


怒りと照れとで真っ赤になる。ぐいとアゴを引かれ、振り向くと、またキス。


『っんぅ……け、賢太郎っ!お前が公衆の面前でそんな事するからからかわれ…』

「星菜、好きだ」

『っ!わ、私も…じゃなくて!』


はぐらかさないで!と叫ぶと、賢太郎は笑いながら砂浜を逃げる。波打ち際へと走る賢太郎に、思いっきり水を掛けた。

あの時、踏み込んで、よかった。自分の想いの先へ進めたから、今があるのだ。

水が太陽を反射して、キラキラと輝いて。今この時を、大切にしようと思った。




The End
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