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Volleyball Boys 2《ハイキュー!!》

第18章  "好き"の行方は知らぬまま、




星菜はわなわなと震えながら、地獄に住まうと云う鬼が見ても逃げ出すような勢いで捲し立てたのである。例えるなら―――そう、超絶怒涛のあの人のように。


『リエーフ!残り2日で白紙って何よ!?』


「ご、ゴメンナサイ………」


ここまで怒られると思わなかった灰羽リエーフ君(15)。しおしおと萎んだリエーフに、プッと噴き出す黒尾。「ばか」と孤爪が黒尾の膝を叩くも時既に遅し、星菜の目がギラリと瞬いた。


『ねぇ黒尾、あんた笑ってる場合?』


「お、落ち着け、星菜サン、落ち着……」


『この状況で落ち着けるかぁ―――ッ!!』


ピシャーン!と落下したとてつもない雷に、ビクーっと身を竦める若干3名。


『じゃあ言いますけどねぇ………黒尾、あんたがやった数学っていっちばん量が少なくて簡単なやつだからね!?研磨も、翔陽を手伝わなきゃ終わってただぁ?よく言うわよ、合宿中に日向くんと練習したのなんて全部合わせても1時間にも満たないくせに!!リエーフだって、どうして赤点取ったの?1年の最初にこれだったら"エース"になれないからね!?』


まるで言葉の暴力とはこの事。星菜から繰り出される言葉という名の槍やら弓矢やらは、次々と3人の体にぐさぐさ刺さり、確実にメンタルを弱らせていく。星菜のお説教はしばらく続き、そして3人のHPバーが赤く点滅しだした頃、ようやく星菜の勢いが弱まってきた。


『大体だらしないのよ、3人とも。いや、バレー部がだらしないわ。夜久も山本も犬岡も!いつまでもそんな風に甘えてるから!心のどこかに甘えがあるから!だからあんたたちはいつまで経っても勝てないのよ―――っ!!』


叫んだ星菜は、そのままヘナヘナと床へとへたり込む。


「エート、星菜サン………?」


『もういや、泣きたくなってきた………』


涙声で呟いた星菜に、今度は狼狽える3人。肩を落とす星菜の背にそっと腕を回し、黒尾は紳士的な笑みを浮かべる。


「大丈夫だ、俺が全国に連れて……」


『じゃあ宿題終わらせて』 


「……ハイ」


問答無用でピシャリと撥ね退けた星菜に、色男·黒尾も為す術無し。星菜の威圧感に気圧され、3人は渋々と机に向かうのだった。




 
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