Volleyball Boys 2《ハイキュー!!》
第15章 鈍感少女の青春記録Ⅲ《青城》
なかなか降ろしてくれない京谷さん。ちょっとあの、下で鳴ってるシャッター音がそろそろ困るんですが。
『いい加減降ろしてください』
「断る」
『なんでですか!?』
「なんとなくだ。文句あるか」
『逆に文句しかな…』
カシャア、カシャッ、ピロリン、リローン。
『撮るのもうやめませんか!?』
「くそー、アングルが…」
『花巻さんやめて!?』
「あ、マッキーそっち行って、俺ここ」
「おっけ」
『結託しないでください!?』
あーもう、この人達はぁ……っ!
『いい加減にしろっ、バカ共が!』
「ぐっ!?」
ドカッ、と京谷さんを蹴り、床に着地。というか、むしろ落下した。ホコリを払いながら立ち上がると、私の剣幕に驚いたのか、後ずさる者数名。
『こんなくっだらないことする暇あったら、すぐに練習始めてください!じゃないとまた、白鳥沢に負けちゃいますよー?いいんですかぁ?』
わざと煽るような言い方をする。
「まったく、星菜ちゃんはそうやっ…」
「うし、部活すんぞー」
「「「アっす!!!」」」
「聞いて!?」
はい、及川さんへの塩対応出ましたー。さて、ようやく部活も始まったところで、マネージャーの仕事を始める。京谷さんは部活に出てない間もバレーをやっていたのか、鈍ってはいないようだった。
1人だけ別メニューをこなす京谷さん。今のところは順調っぽい。次から基礎練習多めかな、これは及川さんに要相談、と。そんなことをノートにメモしていると、ノートに影が掛かる。顔を上げれば、京谷さん。
「おい、女」
『お、女って…ちゃんと名前ありますけど』
「なんてーんだ」
『天草星菜です』
「そーか。じゃあ星菜」
『はい?』
「ドリンク、もらえるか」
『っはい!』
ようやくマネージャーとして見てもらえた。笑ってボトルを渡すと、ぎこちないながらも小さく笑い「ありがとう」と言ってくれた。
ちょうどコートでは3対3のゲームを始めたばかり。及川さんに呼ばれてコートへ駆ける京谷さんは、出会った時よりスッキリした顔をしていた。
開け放った窓からは、初夏の日差しが降り注ぐ。夏はまだ、これからだ。きっと部活三昧の夏休みなんだろうけど、それも悪くないと思った。
To Be Conteniend…