Volleyball Boys 2《ハイキュー!!》
第12章 ★あなたの温度:菅原
【天草 side】
私がマネージャーを務める烏野高校の男子バレー部は、土曜日の今日、他校との練習試合があった。インハイでベスト4まで登り詰めてから、毎週末のように練習試合の誘いが来るようになった。
そして今日、近くの高校と練習試合。場所はホーム、烏野高校の体育館。3試合やって全勝したものの、まだまだ課題はあった。
「お前ら、明日は午後からだからなー。帰ったらしっかり休んどけよ」
「「「あっス!!!」」」
烏養コーチの言葉に、部員達が返事。その後は片付けをし、自主練をする者のみ居残りしていいということになった。
さて帰ろう、としたところで、後ろから誰かに呼ばれた。それは、振り向かずとも分かる、大好きな彼の声だった。
「天草さん、一緒に帰ってもいーい?」
『菅原さん、お疲れさまです』
走ってきた菅原さんは、私の隣に来ると、優しい笑顔をふわりと浮かべた。未だ慣れない他校の生徒との試合で疲れていた私にとって、最高の癒しである。
「そんな堅くなんなくていいよって。ほら、帰ろ?坂ノ下で中華まん食べるべ?」
『はい!』
ごく当たり前のように私の荷物を持ってくれる菅原さん。こういう何気ない優しさにいちいちキュンとしてしまう。
てくてくと彼の隣を歩く。菅原さんはいろんな話をしてくれるけど、私は相槌をこくこく打つだけ。時々触れ合う肩が、一瞬伝わる熱に、どくんどくんと心臓が鳴る。
今でも信じられない。菅原さんが、私を好きだなんて。私達が、付き合ってるなんて。
「天草さん?おーい、聞いてる?」
『あっ、と…ごめんなさい、考え事しちゃってて、聞いてなかった、です……』
「そんなシケた顔すんなって!俺は、天草さんが笑ってるのが好き。な?」
ほっぺを手で包み、にかっと笑う菅原さん。自然にこんなことをするものだから、こっちはたまったもんじゃない。あぁもう、さっきより、もっとドキドキしてる。
『私も、菅原さんの笑ってるの、好きです』
「じゃあ一緒に笑ったらお揃いだな!」
そう言って声を上げて笑う菅原さんが眩しくて。憧れと好きの混ざった不思議と温かな気持ちが、私の胸を満たしていった。