Volleyball Boys 2《ハイキュー!!》
第11章 チョコと幼馴染み:及川
本日、2月14日は決戦の日。
朝、いつもの持ち物チェックに加え、紙袋の中のチョコレートも念入りにチェック。友チョコ、部活の義理チョコ、それと本命。
いつもはしないけど、ポニーテールに編み込みもやってみた。シュシュは一番可愛いの。ちょっとだけど、メイクもした。
『いってきまーすっ!』
通常の2割増しの挨拶と共に、家を出る。
今日こそ言ってやるんだ。憎んでも憎めなくて、むしろ好きが募っていくばかりのアイツ。幼馴染みで、あたしのことなんてちっとも女子として見てくれないアイツ。
でも、どうしようもなく好きなアイツ。
及川、徹に―――
そんな決意を胸に走る通学路。遅刻ギリギリで玄関に駆け込むと、ちょうど岩泉と及川にばったり合った。乱れた息のままにオハヨ。
『おはよ、岩、及川』
「おっす」
「おはよー!ねぇねぇ星菜、2月14日の今日は、いったい何の日でしょーかっ!」
『岩ごめん、あたしら日直だよね』
「あ、やべ。忘れてたわ」
『早く行こー!』
「おう」
「ちょっ、まてまてまてまて俺はスルー!?」
と、ここまでは予定通り。ほらね、後ろの及川はすぐに女子に捕まってるでしょ。その間に職員室に向かい、それから教室へ。
『あ、そーだ。はい岩、いつもありがと』
「チョコか。毎年悪いな」
『んーん。プリントお願いしていい?チョコ渡しに花とか松川んとこ行かなきゃ』
「おう」
お願いね、と頼んで駆け出そうとすると、おい、と岩泉が呼び止めた。
「今年はあげるのか、本命」
『っわ、渡す、つもりだけど………』
ごにょごにょと答える。あたしの随分長い片想いを知ってる岩泉は、ぶふっと吹き出した。それから爆笑して、最後にこう言った。
「告白、うまくいくといいな」
『っうん、ありがと!』
作戦決行は放課後。それまでは前哨戦、まずは紙袋の中身を減らすのが先決だとばかりに、あたしは朝の校舎を駆けた。