第39章 危機
みわ
「…退さん。」
そんな興奮している俺に、
落ち着いた口調でなおも話しかけてくる
山崎
「…なに。」
みわは包装紙に包まれリボンがついた縦長のプレゼントらしきものを、
テーブルの下から取り出すと俺に渡してきた。
山崎
「?」
その何かを受け取る。
とても軽い。
みわ
「開けてみてください」
山崎
「……」
俺はみわちゃんから受け取った何かの包装紙を剥がした。
すると…
中から欲しかったミントンのラケットが出てきた。
山崎
「これ……」
前から欲しかったけれど、
少し高めだから我慢していた品だった。
みわ
「気に入ってくれたら嬉しいです!」
あいも変わらず穏やかな表情で、
俺を見ている。
山崎
「……」
みわ
「もしかして違うものでしたか??」
山崎
「………」
みわ
「ご、ごめんなさい!えと…あの……」
多分このラケットを買うのは大変だったという想像は容易にできる。
必要な分の生活費しか渡していないし、子供が生まれたからと小遣いも貰わずにいるのだから…
おそらく節約をしてお金を貯めて買ったのだろう。
けど…
それとこれは話が別だ。
俺の怒りは冷める事なく、
むしろ物でなあなあとしようとするみわの態度が許せなくて、
ラケットを床に投げた。
大人気ない事は分かってる。
だけど…
みわ
「……退…」