第7章 差し伸べられた手
「ええと、あなたは…。」
「あら、ごめんなさいね。私はドゥナ。貴方の叔母にあたるのよ。」
しかしハヨンの覚えている限り、母のチャンヒは一人娘で、兄弟はいないはずだ。
(となるとこの人は…。)
「ドゥナ様は父方の叔母にあたる、ということでしょうか。」
「その通りよ。最近、チュ家の名を名乗る者が白虎に入隊したと聞いてね。探りを入れていたらハイルから知らせが届いたのよ。」
ハヨンは父の生前、一度もチュ家の人に会わせてもらっていなかったので、チュ家の人達とは全く関わりがない。
ハヨンやチャンヒのことは認識していないのではと思っていたのだが、そういう訳でもなかったようだ。ハヨンの名も、父の娘であることも知っているようだった。
「ドゥナ様。今日はそれでどのような用件で…。」
チュ家を名乗ることが気に食わないのだろうか、と考えながらハヨンはドゥナの様子を伺う。
「お兄様が死んでからどうやらあなたとチャンヒさん、だいぶん苦労しているようじゃない。お兄様は生前、拒否していたけれど、あなたたち、正式にチュ家に入る気はないかしら?」
ドゥナの言葉にハヨンは唖然としていた。
父がどういった経緯でチュ家を出て、職人階級の母と結婚したのか。そしてどうして実家から絶縁もされず過ごしていたのか。
様々な疑問があったのだが、この言葉で、ハヨンはいったい父が何をしていたのか急に気になり始めてしまった。