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華の剣士 王宮篇

第19章 まがいものの関係


「あの…」


「そなたはこの者を愚弄しているのか。」


ハヨンが話そうと口を開いたとき、リョンヘがそうアンビョに尋ねた。その姿は王族としての誇りを持ち、いつものリョンの時の気安さは一切無かった。


「そ、そんな愚弄など…。ただ、女性の仕事では無いと思ったので心配でそう説得していたのです。殿下はそうは思われないのですか?」



「そんなこと一度も思ったことが無い。彼女は高い志を持ってこの城に参り、白虎の一員としての誇りを持って仕事をしている。むしろそんな彼女に自分の考えを押し付けていては無礼ではないのか」


アンビョは押し黙った。リョンヘから放たれるその雰囲気は重々しく、ハヨンでさえ口を開くことを臆してしまう。



「アンビョ様。私はあなたの説得に応じる気はありません。それに私の叔父の家にもう尋ねて来ないでください。私はあなたを護衛する一人としか思っておりません。」


ハヨンはその重たい空気の中でやっとそう伝えた。その言葉を聞いたアンビョは自分の好意をはねつけられたからか、リョンヘに恥ずかしい思いをさせられたからか赤面する。



「私はおしとやかな女性を好んでいる。あなたのことは好いていない!」


と憤然として立ち去った。



「あの、ありがとうございました」


ハヨンが頭を下げると、そうかしこまるなと優しい声がかかった。


「私は大したことはしていない。ただ不思議に思ったことを口にしただけだ。礼には及ばない。」


口調は依然として固かったが、目にはあのリョンらしい優しい光が宿っていた。



「これからも誇りを持って励まれよ。」


そう口にした後リョンヘは立ち去っていった。ハヨンはあのもの言いや雰囲気に何か覚えのあるような気がした。






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