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華の剣士 王宮篇

第2章 遥か昔に起きしこと


もう何百年前なのか数えられないほど昔…。


燐の国一帯を治めていた靖という王朝は長い間繁栄したが遂に衰退し、人々は荒れていった。


暴力、強奪、殺人…。そんな犯罪に手を染めるもの達で王都周辺は溢れ返っていた。


そして靖の国に今までに体験したことの無い大干ばつ、それによる大飢饉が起こる。


食糧の奪い合いにより大きな争いが絶えず起こり、王都のみならず農村や漁村まで気がつけば靖の国のほぼ全てが争いの地となり、地は血で染められるありさまとなった。


王には争いを止める力はもう残っておらず、かと言って民を救う手だてもなく、国の内紛により大きな力を持った集団に城を焼かれ、逃げ惑っていた姿を発見され、呆気なく殺された。


そんな無法地帯となった国の中で、一部だけ干ばつをまぬがれ、争いを好まぬ一族がひっそりと暮らす山があった。


ありとあらゆるものを欲したもの達は、最後の豊かな土地を我が物にしようとした。武装し、人々を蹂躙するもの達が方々から集り、森に住む一族の身に危険が迫った。


そんな時、森の中に住んでいた一族の長、ソンドクは天に祈った。


神よどうかお助けください。私には愛する妻と息子そして一族の民がいます。皆を守り、慎ましく、ささやかでも争わず、穏やかな日々を過ごすことが私にとっては何よりの幸せなのです。私は皆を守り、自然を傷つけない力が欲しい。


と。長い間靖の国の争いを憂いていた神はその言葉を聞きつけ、こう返した。


ならばそなたに私の力の一部を与えよう。それは獣を従える力であり、獣達はそなたの命令には必ずそむけぬ。そして、私の友の四獣を遣わそう。彼らはそなたらを守り、そして国中の自然を復活させるであろう。









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