第17章 褒美
ついにハヨンが王に謁見する日がやって来た。これは王じきじきに招かれたもので、こんな城で働き始めて間もない者が呼ばれることは滅多にない。
「面を上げよ。」
ハヨンは床に手と額を深々とつけて待っているとようやく声がかかった。
「ハヨンだったか。こたびの件はよくやった。私と皆の命を守ってくれたこと感謝している。」
王は高い位置に置かれた台座に座り、ハヨンを見下ろしていた。冷酷な王でもなく、温厚で厳しく、戦いの時にはりりしくなる王。決してしもじもの者でも人として扱ってくださる模範的な王だ。しかしそれでいて自分と他の者は全く立場が違うのだと思い知らされるその威厳に、ハヨンは自分のいる場所を改めて知ることとなった。
「ありがたきお言葉、誠に嬉しゅうございます。」
王の周りの他の台座には、妃の二人と息子のリョンヤンとリョンヘが座っている。
「そなたはリョンヤンの護衛の一人であったな。これからも仕事に励まれよ。」
「はい。」
「陛下と王子達を守ってくださりありがとうございます。」
と二の妃は言い、子供を持たない一の妃はリョンヤンと微笑んでいた。リョンヘというと、表立っては宴会の時に会ったくらいなので、「ありがとう」とその一言を発しただけである。
(随分とリョンとは話し込んだから仲良くなったし、リョンヤン様も私を信頼してくださるのはよくわかっている。でも、これが本当の私たちの距離なんだな…。)
最近ハヨンはリョンヤンとリョンヘとはもう離れがたいと思えてきていることに気がついていた。しかしハヨンがそう思っていても、誰かが手を加えたら容易に二人とは一生会えなくなるようになってしまうことも今一度突きつけられた。
(二人との関係もここまでか…。)
ハヨンは寂しい気持ちを心の中に押し込んだのだった。